2019/8/26 境港へ

2020年5月30日

出雲大社〜境港の航路は100km以上。
僕らのセーリングスピードは12~13kmくらい。
出航時刻は14時過ぎ。

「確実に日没後にしか着眼できないな。」

全員覚悟を決めた。
ナイトセーリングである。

サンセットクルージングなどの日没をヨットから見るなどのおしゃれなツアーなどがあったりするが、あれはクルージング後に温かいお風呂と布団が待っているから楽しめるものだと思っている。
今回の状況ではナイトセーリングをどこまで楽しめるのか自信はない。
ただ、やってみたい。

月明かり&星明かりだけでおしゃれにセーリングする

この言葉の響きに騙されたと知ったのは出航して6時間以上経ったあとだった。


「エンジン止まった場合を想定してパドルだけで進むか確認してみよう」

この後ナイトセーリングが控えているにも関わらずに無駄なことをしようとしていた。
サップのパドルだけでどれだけのヨットを進められるかの検証をしてみる。
コジマがパドルを持ってバウの方へ行き全力で漕ぐ。

・・・
・・・・・・

「ムリムリムリムリ!!」

全く進まなかった。
少し風が吹いただけで風下に流される勢いだった。
エンジントラブルをパドルで乗り切ることはできなさそうだった。

気を取り直して出雲を出たのはお昼すぎだったためポカポカして気持ちよかった。
ナイトセーリングが控えているためジャックライン(命綱)を準備することにした。
初めての危険と思われる航海のため用心に越したことはない。

何故かテンションの上がる三人。
さっそく試しにつけてみる。

(いい感じに捕獲できたな)
いい絵が撮れたため僕はすでに満足した。
ちゃんと長さの確認をしたりしてナイトセーリングにも備えた。

ちなみにジャックラインをつけた状態だと安心する。
普段と変わらないことをしていても「ヨットから落ちない」と保証されているだけでこんなに変わるとは思わなかった。

しばらくセーリングしていると日が沈んできた。
想像よりも距離を稼げていなかったため少し心配になってきたが、水平線に沈むきれいな夕焼けをいているとどうでもよくなった。

時刻は19時半を回った頃、いよいよ周りが見えなくなってきた。
懐中電灯で照らさないとミズキとコジマの姿も確認できない。

(あと何時間くらいかかるんやろ・・・)
こういったしんどいときは時間をきにしたらダメだと知っていたが、頭に時間のことが浮かんでしまった。
月明かりもなく苦行の始まりである。

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「暗いね」
「イカ釣り漁船の灯りで少しだけ周りが照らされてるね」

無意味な会話を延々と続けながら暗闇の中を進んでいく。
ちなみに星空はめちゃくちゃキレイだった。
真っ暗な中、海上で星空を見るのは悪くないと思った。

「仮眠しとくわ」

22時を回った頃、僕は寝ることにした。
この時点で着眼が24を超えるのは確定していた。
ちなみにコジマは僕が仮眠から二度と起きてこないと思ったらしい。

順番に仮眠を取り引き続きセーリングする。

・・・
・・・・・・

「キツイな」

さすがに全員疲労してきた。
知らない海域で定置網がないかなどの周りも見張りながらのセーリングがこんなにしんどいものだとは思わなかった。

「やっと見えたね」

最後の岬を越えたときはすごく嬉しかった。
無事に境港のヨットハーバーについたときは夜中の1時を超えていた。
ヨットの片付けをして寝たのは2時30分くらいだったと思う。
長くしんどかったけど思い出に残るナイトセーリングは無事に終わった。