2019/8/25 出雲へ

2020年5月30日

起きたら僕の風邪は治っていた。
原因は遊び疲れで間違いないと思う。

「おはようございま〜す」

僕が目覚めたときにすでに二人は別室で動画を撮っていた。
途中から入るのもあれなのでこっそりと聞いていようと思う。

「昨日の怪我はすっかり治りまして〜」

!?
ガンガゼに刺された怪我が一日で治った!?
あの男の治癒力はすごいなと思っていた。
よくよく聞いてみると軽く内出血していただけで、お風呂に入ったらきれいに治っていたらしい。
大事にならなくてよかった。

民宿が丘の上にあったため少し歩いて僕らのヨットに戻った。
準備を終えていざ出航!というタイミングで知らない家族がやってきた。
どうやら昨日泊まった民宿のオーナーの家族らしい。
オーナーの父親はヨットの設計に関わっていたらしくいろいろな話を聞けた。


出雲大社への参拝が今から楽しみだ。
昨日釣った魚を船上で食べるのも待ち遠しい。

出雲までの航路は比較的風も弱くのんびりとセーリングしていた。
僕が舵を取り各々リラックスしていたときに事件は起こった。

「あぁ〜」

コジマがミズキを撮影しているときに急にミズキが叫んだ。
(よしよし。今回もやらかしたな。)
完全にミズキのやらかしを楽しんでいた。しかも今回はカメラが回っているときである。
何が起こったのかワクワクしながら聞いてみると・・・

「ブログの下書きが消えちゃったぁ〜」

スマホの操作を間違えて下書きが消えてしまったらしい。
たしか30分くらいブログ書いていた気がするが、その作業がすべて水の泡になっていた。
よくもまあこんなに次々と面白いことを起こせるなと思いつつも、なんとか復旧できないか試してみた。

・・・
・・・・・・

無理だった。
本人は誰にも怒りをぶつけることができずに、またせっせとブログを書き始めた。
ちなみにミズキはこのあたりからブログを書かなくなってしまった。
トラウマにでもなってしまったのだろうか。
僕がブログも書くことになってしまった原因の一つである。


お腹も減ってきたのでご飯作ることになった。
材料は昨日釣ったイサキ+キジハタである。
ミズキが料理してくれるらしい。
魚を美味しく食べたいという欲求と面白い映像が残るかもしれないという期待で悩んだが料理してもらうことにした。

「ズキの何分かクッキングゥ〜」

何も問題は起きず着々と料理は進行していった。
美味しそうなアラ汁ができつつ、あとは最後の味付けだけというタイミングでまたもや事件が起きた。

プスンッ

「「・・・」」

エンジンが止まってしまった。
(これはまじでヤバイやつおきたな・・・)
完全にエンジンが止まり起動しなくなってしまった。
一旦料理を止めてもらいエンジンの様子を見ることにした。

コジマが色々やるがエンジンはかからない。
動く気配もない・・・
心配しながらカメラを回してる横で無言のオーラを感じた。
(早く料理の続きがしたいなぁ)
さすがミズキ、エンジントラブルにも動じずに飯を作ろうとしている。

僕もお腹が減ってきたので一旦エンジンのことは忘れて料理再開することにした。
イキイキと作業を再開するミズキ。
ここでもまた問題が起こった。

「味付け薄い・・・」

なんとコジマとミズキの味の好みが違ったのだ。
コジマが濃いめ、ミズキが薄めにしたいそうなのだ。
(どっちでもいいから早く完成しないかな・・・)
僕の好みはちょうど二人の中間なのでどっちでもよかった。

何度か試行錯誤した後に完成した。
最初にコジマが一口目を食べ、案の定味噌を追加した。
ミズキがイラッとしていたのが目に見えてわかる。

海上であったかいアラ汁を飲み、体も温まったところでエンジンの修理に取り掛かる。
後ほど知ったのだがミズキはこの時点でこんなに大事になっているとは思っていなかったらしい。
どうりで料理のことばっかり考えていたわけだ。

色々とやってみたが直る気配がない。
出雲まではまだ20kmくらいある。
風も弱くセーリングで行ける距離ではなかった。
どっちにしろエンジン無しでの着岸はかなり難しい。(できるかも謎)
118(海上保安庁の電話番号)の数字が頭をよぎる。

・・・
・・・・・・

「エンジンかかった瞬間にフルスロットル入れたらいけるんじゃね?」

実はエンジンは全く動かないわけではなく、0.5秒くらいは起動するのである。
その後すぐに止まってしまうので困っていたのだ。
それならばその一瞬にかけてみればいけるのではと思った。

ブルンッ・・ブルルルルウゥゥ〜

かかった!
2時間ぶりにエンジンが動き出した。
このときの恐怖と嬉しさは今も忘れられない。
止まってる間に近くを通った船に手を降ってみたり(気づかれませんでした)、どうやってセーリングで着眼するかを考えたりするか必死に考えていたけど無駄になってよかった。

その後出雲に着岸し疲れを癒やすためにゲストハウスへと向かった。
明日は出雲大社への参拝である。楽しみだ。


この日はこれで終わりかと思いきや夕ご飯のときに事件は起こった。

「食欲がない・・・」

!?
今まで聞いたことのないフレーズがミズキの口から出てきた。
これは大事だと心配しつつもお腹が減っていたので二人でご飯にいこうとした。

「一応ついていって隣で座っとくわ」

一人でいるのが寂しいらしくミズキもついてくるらしい。
何を食べるか迷った結果、近くに回転寿司屋があったのでそこにした。

・・・
・・・・・・

「少しだけ食べようかなぁ」

予想通りである。
食欲がないと言っていた男も元気にむしゃむしゃ食べ始めた。
最終的にミズキが食べた量は僕よりも一皿少ないだけだった。

「・・・普通に同じくらい食べとるやん」
「いや茶碗蒸し入れて一皿差よ?全然食べてないやん!」

何を言っているのかよくわからないのは僕だけだろうか。
彼の中では茶碗蒸しはカウントしないらしい。
どっちにしろ元気が出てきたようなので少し安心した。