2020/1/27 野母崎へ
本当に死ぬかと思った。
人生でこの日ほど死を覚悟したことはない。
それくらい怖い一日だった。
朝起きてびっくりしたのは隣の船が沈んでいたことだった。
前日の夜に隣に停まっていたと思われる漁船がクレーンで引き上げられていた。
波で浸水したのか理由は定かではないが他人事ではないので注意していようと思った。
まだ天候が荒れているためすぐに出航せずにしばらく様子見することにした。
・・・
・・・・・・
しばらく待っていると晴れてきた。
きれいな虹も出てきたので長崎に向けて出航することにした。
ここから福岡までの日程を(風の予報も考慮し)逆算すると長崎まで行きたい。
しかし天候は良くない。
仕方ないので行けるところまで行くことにした。
ただし長時間航海は怖いため、ところどころ港によって様子を見ながら進んでいく。
出航したものの横波が激しい。
1回目では鬼池港までしか行く予定はない。
時間にして1時間くらいだ。
鬼池港についたあとは休憩がてら昼ごはんを食べることにした。
このあとは富岡→野母崎→長崎の順番で向かう予定になっている。
富岡に向かう航路は波も落ち着いており風も強くなかった。
心配している前線も近づいてこなかった。
・・・
・・・・・・
「富岡に寄る・・・?」
富岡に寄って前線がすぎるのを待つか、野母崎まで一気に行くか悩んでいた。
予想以上に前線が来ていないため富岡によった場合は2時間以上待機することになりそうだ。
野母崎まで一気に行ってしまっても前線には追いつかれそうもない。
「行くか!」
富岡はスルーして野母崎を目指すことにした。
ここから風が真横に変わったためヨットのスピードも早くなっていた。
想定よりも30分以上早く野母崎につきそうだ。
ただし野母崎付近にはお風呂や民宿がないため、前線が通過したらもう一度出航しようと考えていた。
・・・
・・・・・・
「・・・前線近づいてきたね・・・」
・・・
・・・・・・
「風向変わったね・・・」
最悪だ。
港まで3kmくらいのところで雷雲が後ろに迫ってきた。
しかも風上に港がある。
セールをおろして機走で頑張って港に向かっていた。
ゴロゴロゴロゴロ
港まで1kmくらいまで近づいたときに明らかに雷が上空で待機しているのがわかった。
ゴオオオオオオオオオオオオオ
風が明らかに強くなった。
周りが何も見えなくなり顔に当たる雨が痛い。
ミズキはそっと船室に入っていった。
ピカッゴロゴロ
すぐ近くの海上に雷が落ちた。
相変わらず風は強い。
強いどころではない、ヤバい。
ヨットがエンジンでも全然進まないのだ。
少しでも風向から横に向けると流されてしまう。
「やばい」
「どうしよう」
(これは死ぬかもしれんな・・・)
ヨットに雷が落ちたら生き延びれるのかどうかはわからない。
ヨットを放棄して逃げるとかアンカーをうって止めるとか色々考えたがどれもヤバそうだ。
・・・
・・・・・・
雷が落ちてから30分くらいたった頃だろうか。
やっと風が少しだけ収まってきた。
といっても機走で5kmもスピードは出ていないと思う。
ずっと目の前に見えていた港になんとか入りすぐに係留してヨットから離れる。
(生き延びれた・・・)
陸に上がって最初に思ったのはこれである。
それくらい怖かった。
雨が上がってきたので安全な場所にヨットを移動させることにした。
移動したら・・・
二度目の虹!
この時点で疲れ切っていた僕らはもう一度出航する元気はなかった。
長崎を目指すなら向かい風の中、また3時間くらい海にいなければならない。
さらに途中で諦めなければならない可能性もある。
それよりかはここにヨットを止めることにした。
野母崎にはお風呂や民宿がない。
しかしこの状況でお風呂なしはきつい。
「・・・長崎に行こう」
バスで長崎に行くことにした。
1時間くらいバスに乗って移動したあとは・・・
ランタンフェスティバル
タイミングよくお祭りをやっていたので見ることにした。
昼の恐怖はすっかり消し去って肉まんとかを食べてリフレッシュできた。
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