2019/9/17 小泊へ

2020年5月30日

「電車って楽やね〜」

ホテルからハーバーに向かうときに三人はしみじみ思っていた。
ヨットで日本一周しているからこそ、他の乗り物にも乗ったときにその快適さがすごくわかる。
今までにヨット、自転車、自動車、電車と乗ったが電車が一番楽だ。
周りを見ながらまったりと移動することができる。
(ちなみに自転車に乗るとき=山道が多いためヨットよりもしんどいイメージだ)

周りの景色を楽しみながら移動する。

景色を・・・楽しめない・・・

ハーバーについて出航しようとしたものの波が高くてしばらく待機することになった。
このあとのスケジュールを考えるとかなりの痛手だが安全最優先なので仕方ない。
しばらく待ち波が収まってきたので出航する。
時計は15時を回っている。
(やばいな・・・)
すでに嫌な予感はしていた。

目的地の小泊まで160kmはある。
相変わらず波も高い。
となりを走るタンカーも波に打たれている。
頑張ってセーリングするがあっという間に日が落ちてきた。

(今沈んでいる太陽が上ってもまだ目的地にはついていないんだろうな・・・)
「日の出とともに出航し日の入りとともに着岸する」は普通だが「日の入り前に出航し日の出後に着岸する」は考えただけでもしんどい。

ここから思い出したくもない地獄のセーリングが始まるのである

日が落ちてからは交代で仮眠を取ることにした。
1時間ごとに一人づつ寝て残り二人で操船することにした。
日が落ちてから月が昇るまでは真っ暗だった。
高い波が正面から来るのだが全く見えない。
いきなり暗闇から壁が現れたと思ったら波に打たれるのである。
全然進まないし濡れる。
最悪なコンディションだ。

(やばい・・・)

日が変わった頃だったと思うが、ある感情が僕の中に芽生える。

酔った

すぐに船の後ろ側に行った。
しかし何も食べてないから何も出ない。
ただ精神的には「吐いた」と認識してくれたのかすぐに酔いは治った。
危なかった。治らなかったら眠気+酔いとひたすら戦う羽目になっていた。

日が昇ってきた。朝の5時頃だろうか。
そこからは早かった。
あっという間に目的地が見えてきた。
そのときにいつもの声が上がった。

「釣りするか」

今思い返すと信じられないぐらい元気だなぁと感心してしまう。
眠さギリギリなのにいい背があれば、いつも釣りをしている気がする。

・・・
・・・・・・

何も釣れなかった。
港に到着したのは8時過ぎだったと思う。
ご飯が無い・・・お店もない・・・

この旅初のカップラーメンの登場である。
めちゃくちゃ美味しかった。
ラーメンを食べたあとはすぐに寝ることにした。
予定では2時間後に函館に向けて出航だ。