2020/7/22 屋久島へ?

日が沈んだので出航する。

目標は屋久島。
おそらく20時間くらいの航海(といってもほとんど機走)になるはずだ。
そのため体力の消耗をさけるためにナイトセーリングから始めることにした。

多少の天気は悪いものの満天の星空の元のナイトセーリングは気持ちがいい。
おそらくこれが最後のきれいな夜空を見れる航海になるだろう。
やはり陸沿いよりも島から島への移動時のほうが周りが暗いためきれいだ。

「あれ?」

エンジンの音が弱々しい。
よくわからないが、チョークレバーを引いたら少し復活した。
(そもそもチョークレバーを引きっぱなしで動かすのはおかしい気もするけど・・・)
ただ考えてもよくわからないので諦めた。

・・・
・・・・・・

「おおっ!」

写真でははっきりとは見えないかもしれないが、ネオワイズ彗星らしきものも見える(中央付近)。
のんびり星を見ながら走っていたのだが・・・

ゴロゴロゴロゴロ

(あぁ・・・)

明らかに進行方向で雷が落ちまくっている。
短い間隔でバンバン落ちるため、よく光る。

北東に進みたいのだが、そっちの方角だけピンポイントで雨雲がある。
(えぇ・・・どうしよう・・・)
二人は寝ているため起こさないように色々考えたが、進路を変えることにした。
真っ直ぐに北東に進んで雷雲においつくのは嫌だったので、気持ち北側に避けながら進むことにした。

・・・
・・・・・・

しばらく進んでいると雷雲はなくなったようで海上は静かになった。
完全に安全になったと確信したので進路を元に戻す。
2時間ゆっくり星空を見ながらの操船はできず、半分以上は雷を心配していた気がする。
やっと休憩の時間になった頃には完全に天候は回復していた。
色々と疲れたので交代してからはすぐに寝た。

・・・
・・・・・・

「あれ・・・?」
「おかしいねぇ・・・?」

何やら二人の声が聞こえる。
しかし眠い。

「・・・エンジンが・・・」
「うーん・・・」

(エンジンがなにかおかしいのかな?)
出航してすぐに音が弱かったし、また再発したのかな。なんて思いながら横になっていた。
そして気づいたら寝ていた。

・・・
・・・・・・

「あぁ・・・」

寝ている間に状況が良くなるなんてことはなく、むしろ悪化していた。
なんとエンジンが完全に止まってしまったのだ。
かけようとしてもかからない。
海の上で色々見てみるがわからない。

ここはトカラ列島のあたり、まだ屋久島まで遠い。
さらに風は・・・無い!
今までのヨット史上最大のピンチが訪れたのであった。